国際共同制作ワークショップ上演会

国際共同制作ワークショップ上演会

アジア発の新しい舞台芸術の創造をめざし、アジアの若手アーティストがSPAC-静岡県舞台芸術センターに集い交流しながら、プロデューサーの設定するテーマのもと、小作品を共同で制作します。

ワークショップコンセプト

文化というものは「交互に影響し合い、変容し続ける」ものとして捉えなければなりません。
自国・自地域の「文化的アイデンティティ」を追い求める余り、みずからの文化がまるでフラスコの中で他からの影響を受けずに成立したかのようにみなしたり、あるいはそういう部分をみつけることが「自国の文化的オリジナリティの発見」であるかのように考えては、事実をゆがめてしまいます。 人間は本来、他者の文化に対してきわめて貪欲であり、「自分たちにはないもの」と出会うとたちまち興味を抱いてそれを移入しようとします。そのようにしておこなわれた混交と切磋琢磨の結果として、文化芸術の進化・洗練が成し遂げられたことを忘れてはならないでしょう。 しかし、そのようなダイナミックな交流があってもなお、世界の文化がひといろにならなかったのはなぜでしょうか。

それは、人間の身体を規定する基本的なファクターとしての、「言語」「気候風土(それによる生活様式と食物)」が、各地域で異なっているからだと言えるでしょう。 アジアの舞台芸術家同士が出会うとき、もっとも大切なことは、この違いに対するケア、つまり、相手(他者)の身体が、自分とは異なるものに規定されていることへのリスペクトでしょう。それを忘れて「共通点」「近似性」にばかり目を向けても、荒っぽい出会いしか生まれず、芸術史を前進させるような洗練がなしとげられることはありません。 アジア人同士は、フィジカルにはかなり似た身体を持っているからこそ、その身体を規定する「自他の差異」に敏感でなければならないし、また、フィジカルな近似性を前提に出来るからこそ、差異に敏感になることが比較的容易だと言えるでしょう。近代以前にアジアの身体表現、芸術文化がおどろくべき高みにまで達したのは、そういう「敏感で繊細な出会い」があったからにちがいありません。

テーマ 「化粧」

今年のテーマは「化粧」にしたいと思います。
南米先住民においては自然と文化の境目は「食べ物に火を通すか否か」にあり、北米先住民においては「身を飾るか否か」にある、とレヴィ=ストロースが書いています。いずれにしても化粧は人間だけしかおこなわない行為であり、人間はいつの時代もどこの地域でも化粧をおこなってきました。そしてまた化粧は演劇においてもっとも基本的な要素のひとつです。したがって、化粧について考えることは、人間とは何かを考えること、演劇とはどういうものでどう変化してきたかを考えることにつながります。 今回は、演出家と出演者のみなさんで化粧について考察するところから、小作品づくりを始めてみてください。もちろん稽古が始まる前に演出家が自分自身の考えを深めておく時点からこの作業はすでにスタートしていることになります。

宮城 聰

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